歯科コラム

2025.05.10

「骨が少ない」と言われた方へ ─ 骨造成ってどんな治療?

こんにちは!井口歯科クリニックです。

「インプラントにしたいけれど、『骨が少ない』と言われてしまって…」そんなふうに不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。骨が少ないという理由で、インプラントをあきらめなければならない…と感じてしまうかもしれませんが、実はそうとは限りません。

今回ご紹介する「骨造成(こつぞうせい)」という治療法は、骨の量が足りない方でもインプラント治療を可能にする治療のひとつです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、内容を知ることで、不安がやわらぎ前向きに治療を考えるきっかけになればと思います。

この記事では、骨造成とはどういう治療なのか、治療の流れやメリット・デメリットをお伝えしていきます。「痛みはあるの?」「どのくらい期間がかかるの?」といった疑問にもお答えします。

「骨が少ない」と言われて戸惑っている方、インプラントを前向きに考えたい方、ご家族の治療をサポートしたい方も、ぜひ最後までご覧くださいね。

骨造成とは?インプラントと骨の関係

インプラント治療は、あごの骨に人工の歯根を埋め込む方法です。そのため、インプラントをしっかり支える骨の厚みと高さが必要になります。けれども、歯を失ってから時間が経っている場合など、骨がやせてしまっていることがあります。そんなときに行うのが、骨をつくる「骨造成」という治療です。

骨造成は、インプラントを安全に長く使うための土台づくりです。骨がしっかりしていることで、インプラントも安定し、見た目やかみ合わせも良くなります。

骨造成が必要になる主なケース

骨造成が必要になるのは、どのようなときでしょうか。以下のようなケースが多く見られます。

・歯を抜いたあと、長い期間そのままになっていた場合
・重度の歯周病で、骨が溶けてしまっている場合
・もともと骨が薄い体質の方
・事故やケガなどで骨の一部を失った場合

こうした状態では、インプラントをそのまま埋めると、しっかりと固定されず、長く使えない可能性があります。そのため、まずは骨造成で骨の量を増やす治療が必要になります。

骨造成の種類と治療方法

骨造成にはいくつかの方法があり、患者さんの状態やインプラントを入れる部位によって適した方法を選びます。

■GBR法(Guided Bone Regeneration)

GBR法は、骨が足りない部分に人工の骨補填材を入れ、その上から特殊な膜(メンブレン)で覆い、骨の再生を促す方法です。骨が再生するスペースを確保しながら、自分自身の骨がしっかりと再生していくのを待ちます。

■サイナスリフト/ソケットリフト

上あごの奥歯の部分で骨が足りないときに行う方法です。上あごの奥には「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があり、その部分に骨補填材を入れて、骨の高さを確保します。サイナスリフトは大きく持ち上げる方法、ソケットリフトはより軽度な方法です。

■スプリットクレスト法

骨の幅が足りない場合に行う方法で、あごの骨を分割して広げ、そこに人工の骨やインプラントを入れていく治療です。幅を広げることで、インプラントがしっかりと収まるスペースを作ります。

骨造成のメリットと注意点

■メリット

・インプラントがしっかりと安定する
・見た目やかみ合わせが自然に近づく
・将来的なトラブルを予防できる
・長く安心してインプラントを使える

■注意点

・治療期間が少し長くなる(数ヶ月かかる場合も)
・外科処置が必要なため、腫れや痛みが出ることがある
・追加の治療費がかかる場合がある
・術後のケアや定期的なメンテナンスが必要
・歯科医師の経験や高度な技術が必要

骨造成は、インプラントをしっかり支えて見た目や噛み心地を自然に近づけてくれる治療です。安心して長く使えるうえに、インプラントのトラブルも起きにくくなります。

ただし、治療には少し時間がかかり、体への負担や費用が増えることもあるため、治療後もお口の状態をこまめにチェックすることが大切です。

骨造成の治療の流れと期間

骨造成の治療は、次のような流れで進んでいきます。

  1. ・精密検査(CTやレントゲンで骨の状態を確認)

  2. ・治療計画の説明と相談

  3. ・骨造成手術(必要に応じて)

  4. ・骨の再生期間(3〜6ヶ月ほど)

  5. ・インプラント手術

  6. ・上部構造(かぶせ物)の装着

治療全体では、半年から1年ほどかかるケースが多いですが、状態によっては短くなることもあります。

骨造成はどんな人に向いている?

以下のような方は、骨造成が適している可能性があります。

・インプラントを希望しているが、骨が足りないと診断された方
・過去に歯を失ってから長くそのままにしていた方
・歯周病で歯を失った経験がある方
・インプラントの安定性をしっかり確保したい方

一方で、持病のある方や喫煙されている方は、骨の再生がうまくいかない可能性があるため、慎重な判断が必要です。歯科医師としっかり相談しながら決めていきましょう。

まとめ

骨が少ないと言われても、インプラントをあきらめる必要はありません。骨造成という治療法によって、インプラントができる可能性は大きく広がります。治療期間や手術への不安もあるかもしれませんが、きちんと説明を受け、納得した上で進めることで安心して治療を受けることができます。

「骨が少ない」と診断された方も、まずは一度相談してみてくださいね。

本記事をお読みいただきありがとうございます。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、井口歯科にお気軽にご相談ください。

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